戸畑歯科医師会歯科医療連携室

こんにちは、戸畑歯科医師会在宅歯科医療連携室です。

ご高齢になってもお元気で過ごしていただくためには、「口から食べること」は欠かせません。口から栄養を摂ることは、健康増進と生きる意欲を向上させることにもつながります。

これからの在宅歯科診療では虫歯の治療や義歯の製作といった口腔機能の回復にとどまらず、摂食嚥下リハビリテーションや口腔リハビリテーション、栄養指導に関わるものまで「治し支える医療」が求められています。

このようなニーズに応えるため、戸畑歯科医師会では在宅歯科医療連携室を設置し歯科衛生士と管理栄養士が常駐しています。

病院、施設、在宅等でお口や食事のことでお困りの方は、当連携室に連絡をください。

歯科衛生士と管理栄養士がお伺いし、相談をお受けします。また必要であれば訪問歯科診療・訪問栄養指導(無料)を致します。

どうぞお気軽に在宅歯科医療連携室へお電話ください。

知っていますか?あなたに必要なカロリー

「歳を取ると、カロリーは控えめに」「お肉を避けて、野菜中心の食生活を」と考えていませんか?

厚労省の「2020年版 日本人の食事摂取基準」によると、75歳以上の男性でおよそ2100kcal、女性で1650kcalの食事が必要とされています。(体重や運動量等により、個人差があります)。これは、小学生の中〜高学年の食事量と同じです。

どうですか?実際のあなたの食事と比べて多いでしょうか、少ないでしょうか?

タンパク質

カロリーだけでなく、何を食べるかという食事の内容も大事です。2020年の厚労省の指針では、フレイル予防の観点から、総エネルギー量に占めるべきたんぱく質に割合を、65歳以上では15%にするよう勧められています。ご高齢になると、自炊が難しいとか独りで食事をしなければいけないないなどの理由で、お弁当や菓子パンで食事を済ませがちになります。これらの食事には、糖質と脂質が多く、重要な栄養素であるタンパク質が少ないことが多いのです。ンパク質の少ない食事は、筋肉量の減少を引き起こします。

脂質

そしてもう一つ重要な栄養素が脂質です。今まではメタボ防止目的でコレステロール値を下げるために、脂質を控えていた方も多いでしょう。しかしながら、必要以上の制限は血管年齢を上げて、かえって心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。

筋肉の問題

走ったり、重いものを持ち上げたりするのと同様に、食事をしたり、物を飲み込んだりといった行動にも筋肉が必要です。筋肉は、タンパク質からしか作られません。タンパク質の摂取量が少ないと、筋肉量も減ってしまいます。最近固いものを咬めなくなった、モノが飲み込めにくくなった、水分でむせることが多くなったという方は筋肉量が落ちているのかもしれません。

食事をしたり物を飲み込んだりといった筋肉が弱ると、食事量が減ってタンパク質が少なくなるため、さらに筋肉が少なくなるといった悪循環に陥ります。

歯の問題

ここに歯科的な問題が絡むと、さらに状況は悪化します。皆さんよくご存知のように、食事をする上で歯は欠かせません。

ところが、歯が無かったりグラグラしていると固いものや大きいものが咬めなくなります。そうすると、自ずと摂取できるカロリーが減ってしまいます。

ご飯茶わんに軽く一杯(約150グラム)は約240kcalになりますが、これをお粥にすると約100kcalと半分以下です。同じカロリーを摂ろうとすると倍以上の量を取らないといけない。お腹がパンパンになりますね。

歯が無い方、入れ歯を作っても使っていない方は、歯科と栄養の両方からのサポートが必要になってきます。

2020年版 日本人の食事摂取基準

小学生の中〜高学年の食事量具体例

  1. 朝食
    • 食パン1枚(6枚切り 1枚)
    • 野菜サラダ
    • 目玉焼き
    • ヨーグルト
    • 牛乳コップ半分
    • りんご半分
  1. 昼食
    • ご飯大盛り(炊いたご飯200g)
    • 具だくさん味噌汁
    • 焼き魚
    • 野菜の煮物
  1. 夕食
    • ご飯大盛り(炊いたご飯200g)
    • 冷やっこ
    • ほうれん草のおひたし
    • きのこのバター炒め
    • みかん1個

食が細くなってくると、目安量の食事を毎食とるのが大変と感じてしまいます。そんな時は、食べやすくしたり、エネルギーや栄養を足したりする、ちょっとした工夫を試してみましょう。

食材を変える

噛む力が弱くなっても、食材を工夫するといつものメニューが食べやすくなります。例えば、豚肉のしょうが焼きは、肉をしゃぶしゃぶ用の薄切りバラ肉にしたり、しょうが汁に漬け込んで肉が柔らかくしたりすることで食べやすくなります。さらに、片栗粉をまぶして炒めると、飲み込みやすいなめらかな食感になります。
また、シチューなど調理で加水する場合は、水の代わりに牛乳やスキムミルク、豆乳などを加えると、簡単にたんぱく質の摂取量が増やせます。

食材を追加する

炭水化物に偏りがちな朝食や昼食に、たんぱく質を加えましょう。朝食には、パンのみでなく、チーズ、ヨーグルト、卵、牛乳を、昼食の麺類には肉や卵を加えれば、不足しがちなたんぱく質が補えてよいですよ。魚の缶詰や練り物製品なども簡単に食べられるのでおすすめです。

メニューを工夫する

毎日たくさんの品数を用意するのは大変ですね。そんなときは、具沢山の汁物や丼物など、エネルギー、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が一度に取れるメニューにするのもよいですね。

https://nestle.jp/nutrition/product/isocal/knowledge/recipe/001/#cite_note-2
出典 ネスレジャパン「高齢者の食事量の目安とは?1日の食事例とおすすめレシピ3

10品目チェックシート

粗食ではなく、バランスよく十分な栄養を摂って健康長寿を目指しましょう。下のチェックシートで、毎日の食性格をふりかえってみるのも良いかもしれません。
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/page/ninkai-center/pdf/10food_groups.pdf

戸畑歯科医師会在宅歯科医療連携室では、従来から行っている歯科訪問診察に加え、ご自宅で過ごされている方で食事やお口に関する不安がある方、病院や施設退院後の口腔ケアの継続を希望される方等のご相談に伺います。また入居者の食事やお口のトラブルに関する職員の方からのご相談も受け付けています。

メールあるいは、電話でお気軽にご連絡ください。

老年歯科学会より

老年歯科学会より「歯科訪問診療における感染予防策の指針 2022 年版」が公開されました。訪問診察の際の参考にされて下さい。
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